2001年8月 29日(水)オンエアー
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今回のインタビューは、8月8日におこなわれた「ミッドナイトスペシャルライブ」のリハーサル後に行われたものです。いつもにも増して上機嫌だったそうで、いつもにも増して、レポが長くなりました(苦笑)。
甲:リハーサル、ちょっと拝見させていただいたんですが、普通、本番前ってちょっとセーブするでしょう。スターダスト・レビューの方って、本気ですね(笑)要:ん、そうね、「リハでまともにできないヤツは本番絶対できない」っていう持論みたいなのがあってですね。だからといって、本番と同じようにリハーサルができるわけじゃないんで、できる分だけはある程度しっかりやっておこうってするところはありますよね。「リハーサルで声を作って、本番でやる」って言う人いるじゃないですか。とすると、リハーサルで声を作ってるっていうことは、本番に入ったときは、全然違うものになるわけですよ。だから僕は、リハーサルのための発声練習をしておくわけです、30分くらい。ほぼ自分の体調としては、精神的なもの以外は本番と同じ状況で望みたいから。本番ではもっと自分の中で精神的にパワフルになってしまうのは、これは仕方の無いことですよね、お客さんもいるわけだから。でも、そこで状況まで変わると、音が自分でよく聞き取れなくなるから、少なくとも音関係に関してはリハと本番が同じようにできるようにしておきますね。
僕も昔は喉はリハーサルで作ってたんですよ。リハーサルで唄いだして喉を作っていって、本番にっていうのがあるんだけど、そうするとね、ろくなことが無いことに気付いたのね。やっぱり本番と同じ喉を先に作っといたほうが、リハーサルは形になりやすいって気付いて、もうどのくらい?14年くらい経ちますかね・・・。
リハーサルでまともに歌えないときは、本番もまともに歌えないだろうというのがあったりするし。だから、できるだけ本番だけじゃなくてリハーサルで作って自信をもって無いと、本番に望めないっていうか、リハーサル以上のものを本番でやらないといけないから、リハーサルがいいかげんだと本番のほうがね、自分で予測立たなくなっちゃったりするんですよね。その100曲ライブの時もね、つま恋の前の日もリハーサルやってたんだけど50曲じゃないや、5時間ぐらい(笑)リハーサルやってたんだ。馬鹿じゃねえのって言われそうだけど「こことここはちゃんとやっとこうぜ」っていうのがあって、みんなでやり始めるわけですよ。そうすると、「じゃあ、こうしようか、ああしようか」って話になってきて、チェックしたいとこがいっぱいあるんだね。ぶっつけ本番ていうのはもちろんあるんだけど、100%ぶっつけ本番だと大変なことになるんで、ある程度は自分達の中で予測できるような状況を作っといて、もちろん100曲も全部リハーサルできるわけじゃないから、ぶっつけ本番のところもあるんだけど、それと絶対にこれだけの形はできるっていう、そのバランスは大事なんじゃないかな、と思って、気が付いたら、5時間リハーサルやってたって・・・。
甲斐:屋外でやるっていうのは、楽器のトラブルとか、ありますよね。
うん、それを一番心配しますよね。だから、そういうのは僕らじゃなくって、スタッフが、二重三重にちゃんと策を作っといてくれて、この楽器が壊れたときはこっちに、この楽器が壊れたときにはこれ、それからこれがトラぶった時にはこの方法、っていうのが、二重三重のケアができてた。だから、ほとんどトラブることなく・・・。僕のギターが途中でトラぶって、それでも、音は出なかったってことはなくって、機材を即そのまま入れ替えるっていうパターンで対処できたっていうのはありましたね。だから、やっぱりそういうスタッフがいたからこそ、100曲という曲数よりは、10時間という時間が作れたんだと僕は思うんですよね。あれがただ僕らが演奏するっていうだけじゃなくて、ちゃんと機材の安定した状況を作ったりとか、それから、お客さんにもそういう状況をちゃんと作っていかなきゃいけないっていうことで、特に8月4日は浜松が全国の最高気温を作ったっていうくらいで、そのお隣ですからね、39.何度っていうくらいで。ものすごい暑かったと思うんですよ、お客さんも。でもね、前の日のリハーサルのときは、曇りですっごい涼しくて、で当日だけがピーカンに晴れて、で次の日は雨でしたからね。だからおそらく、天候っていろいろあるんだよ、って。あんた、むちゃくちゃ晴れてたけど、あれでよかったでしょ、って言われたみたいなもんじゃないですか、きっと。
甲:すごくね、いいライブができたっていう情報が入りましたし、お友達に京本正樹さんがいらっしゃるでしょ?ぼく、見てたんですよ。「笑っていいとも」にでてらして要さんのこといってましたよ。60数曲まで聞いて、仕事の都合で帰ったってそうですが…。
要:(笑)あ、そうそう、電話かかってきて、「今日は要さんの話をさせていただきました」って。あいつ、うちのプロモーション担当みたいなところがあって、どこそこで「スタレビの話をしてきました」って必ず報告がはいるんですよ。本当に観に来てくれたこと自体が嬉しかったですよね。
つま恋は、朝10時に始まって曲が歌い終わったのが8時どんぴしゃぐらい。8時には終わらなきゃいけない、っていうのがあって。で、なんで8時かっていうと、もちろん僕らあと10分でも20分でも30分でもできたと思うんだけど、でも、8時に終わらないと、新幹線に乗れない場合があると。
当日来て、当日帰る方もいらっしゃったんで、もちろん、ある程度時間があったり、用意されてた方は当日泊まって行くとか、前の日に入ってとかっていう方もあったんでしょうけど、当日きて、当日帰るって方もたくさんいらっしゃったんで、8時にそこの場所が終わってないと、バスの関係とかで、もしかしたら乗り遅れる場合があるっていうのを聞いてたんで、8時には終わらしてくれ、って言われてたんですよ。
で、僕らの場合だったら、感覚的に、8時って言われたら、大体8時半って僕は思うわけ(笑)。30分はいつも許容範囲だと。僕を許してくれるね。ところが当日は許しが出なかったわけですよ、だから101曲というところで終わったんですけどね。甲:まず、びっくりするのは、それだけ楽曲があるっていうのが不思議ですよね。
要:確かにアルバム25枚出してて、ライブアルバムとか、ベストアルバムとかがあるから全部でおそらく200曲ぐらいだと思うんですよね。そのうちの半分以上は演奏できるっていうのはライブをやってる強みでしょうね。これがソロアーティストとかだったら、バックのメンバーの人に100曲分の譜面をわたさなきゃいけない(笑)やってらんないよね、そしたらね。もういいかげんにしてくれよって。やってるうちにこれはあの曲じゃないかって間違えて別の曲いっても誰も気付かなかったりして(笑)。オレも自分で100曲も歌うとね、おのれの曲のメロディーラインの類似性について考えちゃったりするからね(笑)これとこの曲さっきも歌ってなかったっけ?って思いながら歌っちゃったりするし。
甲:当然作詞もされるわけですよね。
要:そうそう、そこ(その場)でね。ずいぶんありましたね(笑)、もう。今回はね、演奏時間は8時間なんですけど、休憩時間が2時間あって。その1部がモーニングタイムっていうんですけど、モーニングタイムの後半に、お弁当を配るんですよね。で、お弁当がやっぱり夏暑いときなんで、いたむ可能性もあるんで、とにかく、食ってくれと。早めに食ってくれと、お客さんに。それーって、配るんですよ。1万5千人に。それもスターダスト・レビュースペシャル弁当っていうことでパッケージから全部違ってましてですね。(スタレビとか書いてあるんですか?)あったりまえじゃないですか、そんなのは。そういうものを作って配ったんですけど、これがね、やっぱり俺たちが演奏してるとね、食わないんですよ。でしょ。だって、ディナーショーだって飯食ってからじゃないと演奏始まらないですからね。そんな悠長なこと言ってる場合じゃないと。食ってくんないと、危ないんだって。危ないってのもなんですけどね(笑)とにかく僕はその1万5千人が弁当を広げて食ってる中で、演奏したかったわけ。だから「食えー」って。そのために食べさせる用の演奏曲を作っといたんですよ・・・。そしたら、歌詞間違えちゃって(笑)歌詞間違えてる間に、もうしょうがない、次の歌詞につながらないな、って時はすぐMCに取り替えるっていうかね(笑)。演奏してるなかで「さあ皆さんお弁当食べていらっしゃいますでしょうか〜」って言ってつないだりとかね。それはまあ、ライブっていうものは、決められた事をやることがいいことじゃないし、でも、何も決まってないのも良くないと思うし、そのバランス感覚だと思うんですね。それを僕らは考えずにできるくらい、やってきたんですよね、ライブをね。あんまり考えて考えてつくっていくもんじゃないから、自分達の中で「これができる」って、あらかたのことをちゃんと踏まえておいた上で、当日どうなるかわからない、っていう部分を持ってるっていうかね。いつもそういうバランスは考えてますね。
甲:でもやっぱりファンっていうのをすごく大事にしますね。やはりこの20周年記念、っていうことでこういう大イベントをやったっていうことでも。1万5千人動員するっていう力も。
要:うん、それと10時間のあいだ僕らに付き合ってくれるっていう、あの炎天下の中でね。だから僕らも自由に楽しんでほしかったし、食事してくれるのもかまわないし、木陰を歩きながら聞いてくれるのもかまわないし、お弁当のほかに物産展っていうのも出てたんで、宮崎からもGAKUONが地鶏をもってきてくれて、これもなかなかおいしかったですよ、評判もよかったし。ビールのつまみにはね。それからたとえば福岡のラーメンとか、広島のお好み焼とか、宇都宮の餃子とか色々来たんですけど、そういうのを食べて楽しむっていうのもあったんですけど、それを食ってる間にぼくらの演奏曲とが流れてるわけですよ。ずーっと客席にいなくていいっていうか、いないほうが面白かったと思うんだよね。そういう楽しみ方をお客さんが自分で見つけてくるっていうことの面白さでしょう。
だからおそらくスターダスト・レビューっていうのは、やっちゃいけないことっていうのはないんでしょう。それは僕らはこんなことを考える、それをお客さんがどう楽しむかっていうのをある程度お客さんに任せられるんだと思うんです。当日はカメラもOKだったの。ま、20年に一遍だったんで、勝手に写してくれと。そうすると、ほんと面白いね、俺たちが演奏してるなかで、前のほうに来て、二人連れで来るんだけど、僕らをバックに写真をとって。普通のコンサートだったら、おまえら聞けよ、って思うけど、全然そんなこと思わないの、だって10時間もあるんだもん、それとか、前にきちゃあ撮って帰っていくっていうのは、もう全然普通ですよ。それくらい余裕があって面白いの。何もそんな希少価値で10曲20曲ってやるわけじゃないから、そこの中で「聞かなきゃ!」っていう集中度で楽しむコンサートじゃなかった。そういうことをやってみたかったのね、僕らは。要するに、中途半端な思いで楽しむっていうのを・・・(笑)。やっぱり普通のコンサートってすごい集中度が高いじゃないですか。それを一回緩和させたかったっていうのもあったからね。
甲:そういうことができるっていうのが、キャリアのなせる技とまた、失礼な言い方ですけど、飽きないで皆さん聞いてくださる。アーティスティックな部分が高いっていうことでしょうね。
要:まあ、僕らも企画としては例えばアカペラとかのコーナーで、夏休み特集として、教科書に載ってるようなアカペラっていうので、「大きな古時計」と「ふるさと」と「夏の思い出」これをガキのころに歌った歌みたいな特集でみんなでベレー帽をかぶってドリフのコントみたいなかっこうしてアカペラを歌ったりとかね。当日何がこの8時間の中ですごかったかっていうと、僕のMCが少なかったっていうことですよ。じゃないと終わんないんだもん、100曲(笑)。僕ははしゃべりたかったけどそんなことをしてると終わんないから、必要なこと以外はしゃべれなかったっていう。だから、曲続けていくことがすごく多かったのね。うちのお客さん、すごく拍手長いんですよ、いつも。だから、なるべく拍手もらわないように、次の曲をやるっていう。拍手聞いてると次の曲なかなかいけないんで、拍手もらわなくてすむように、メドレー形式でどんどん作ってって。
いつもやってる曲をやって、一回落ち着いて次の曲をやるんだったらいつものとおりなんだけど、リハーサルは何のためにやるかっていうと、曲つなぎのとこを確認しなきゃいけないわけ。だからそれがタイミングでどんぴしゃで入れるようにみんなが同じ気持ちになるためにリハーサルをやっとく訳ね。なんでもない曲をただ10曲並べるんだったら、ほとんどリハーサルやらないで、終わったら、誰かのカウントでまた入ればいいと。ところが、曲つなぎっていうことは、終わった瞬間次の曲のカウントが入ってくるわけよね。例えば「1.2.3.4.ジャカジャカジャン」って終わったとするでしょ、「ジャカジャカジャン・1.2.3.4.」ポンって
入っていかなきゃいけないから、この間っていうのはもう、呼吸しかないからね、自分達のバンドの中の。だから、そういうことをリハーサルやってくっていう。これがおわって、別の曲が始まるっていって、じゃ、1.2.3.4.ってカウントできるんだったら、もっとリハーサルなんかもやらないでできるから。そういう確認ですよね。確認事項で5時間かかっちゃったんですよ(笑)。
甲:今見てましたら、ギターはストラト、アンプはマーシャルですね。ほとんど。
要:そうですね。僕は。ヘッドアンプは、メーカー忘れちゃったけどね、オランダのね、おそらく日本で僕しか使ってないだろうっていうアンプなんですよ、あれ。あれがまたね、いいんですよ。スピーカーはマーシャルとあとグルーブチューブっていう、僕のお気に入りの年寄りくさーいアンプなんですけどね。若者はあんまり使わないアンプですよね。それを新しいアンプと、最近のアンプなんだけど古い音を追及してるアンプの組み合わせで使ってるんですけどね。
甲:ストラトはやっぱりビンテージ物ですか?
要:いや、あれは作ってもらったやつですね。僕が家で使ってるやつがあるんですけど、50年代の、それを「こんなのを作ってほしい」っていったやつです。ギターっていうのは、人が乗り移ってるっていうかね、「あれを弾いてた誰々」っていうのが自分の中にイメージされるんで、フレーズも出てきやすくなってきたりするんですけど、例えば、セミアコっていうジャズっぽいのを弾いたりするときに使うギターがあるんですけど、それをもったときの楽しさっていうのもあったりするんですよ。
でね、さっきの100曲ライブに戻るけどね、実はね、ストラト一本しか使ってないの。アコースティックギターは使ったんだけど。本当はギター変えたかったんだけど、時間がもったいないから(笑)変えらんないんだよ。こんな経験ははじめてだよね。当然この曲はフルアコとかのほうがいいんだけど、オレがここでギター替えてる時間ないよ〜、って。実は僕はボーカリストとギタリストっていう二つがあるんだけど、本当はもう一つあって、それはMCじゃなくて、(笑)MCって言うと思ったでしょ(笑)そうじゃなくて、実はギタリストの中に二つあるわけですよ。ソリストとバックギターっていう、普通はバンドの中にリズムギターとソロギターって二人いるわけ。この二つを僕はやんなきゃいけないんだよ。だから、ボーカリストであり、バッキングのギタリストであり、ソロもやんなきゃいけないって。ギタリストでは二通り分やってたりするんですけどね、だからこの辺の音の使い分けっていうのは、わりと自分の中ではシビアに凝ってきますよね。
甲:凝ってますね。で、歌いながらオブリ(=オブリガード;主旋律を補佐するメロディーパート)やるじゃないですか。よくできるなって思いますね。
要:(笑)あれ手癖ですからね(笑)。あれはもうほんとに、気が付いたらああいうことやってるっていうだけのことで。だからああいうときは、ライブで見てる分には「おおー」って思うんだけど、いざテープに録ると、どっちもひどかったりする(笑)。だから「NO BALLADS」の時には、自分であきれちゃったことたくさんあったもの。「こいつ歌ってもいないし弾いてもいないじゃないか!」って。弾いてるように見せかけてるとか、歌ってるように見せかけてるだけでね。いや、まだまだダメだなと思いますけどね。
キーボードの光田なんかも2人分ぐらいのキーボードこなしてたりしてますからね。右と左と別なことやって、しかもコーラスまで別なことやってたりしますからね。むしろうちはみんなそういうある種「あれもやる、これもやる」ってところで、だからライブが面白かったりするんでしょう。レコーディングだとそれは一つ一つやるわけだから、意外と当り前のようなものなんだけど、それをライブでみるとびっくりしちゃうんでしょうね。この声は一体どこから出てくるんだろう?とか。あの人は弾いてるし。みんな歌ってるけど、誰がギター弾いてるんだ?とか思うと歌ってる俺が弾いてたりするんですけどね。
バンドだから補いあうっていうのはあるよね。いつも、アレンジとかしてて、ここコーラス三声で入れてったりとか。だから、レコーディングのときは僕と光田で複数でレコーディングで入れてやったりするときは、じゃライブでみんなで振り分けようっていったときに、「柿沼さんここ歌えますか?」っていうと「いやあちょっと僕は今日このフレーズなんで今日はコーラスはできそうもない」「はい〜」っていうとじゃ、寺田あいてるかっていうと「僕は〜・・・」「しょうがないなあ」って話になってくる(笑)。じゃ、ベースのフレーズをちょっと簡略化してもいいからここはコーラスやってくれとか、ここは二声でいいか、とか話したりとかはしますね。
だから振り分けですよね。レコーディングした音をそのまま再現しようとしたって無理なわけだから、10人分ぐらいの音をみんなに振り分けていくと、できないことが出てきちゃうから、そうするとそれを5人分にやっていくわけだから、無い音を想像させるのがライブでしょう、やっぱり。甲:でもほとんどアルバムというか、ライブレコーディングではない、スタジオレコーディングと変わらない音がでますよね。錯覚ですかね、僕の(笑)。
要:いやあ、錯覚は多いでしょう(笑)。かなり削って、想像させていったりとか、例えば三声でやってるときは、コーラスがなるようにして、内声をとっちゃって2人でとか。あと、ぼくのリードボーカルの間を埋めてって、その下と上のコーラスでつないでったりとかする。本当は三声びゃーって鳴らしたいんだけど、人がいなーいってとこもあるしね。だからそういうのは聞いてる人に想像してもらったりとか。本当にクリアな音で聞いたときには音揃もはっきりしてくるし、そういう音の聞き方ができるんだけど、ライブっていうのはやっぱりある程度チャットするから、そこには何をめだたせるか、何を伝えてくかっていうのが一番大事になってくると思うんですよね。
甲:それ、大事ですよね。カウント・べーシー楽団にフレディ・グリーンというギタリストがいて、アンプも何も使わないのにライブに行くと聞こえるんですよね。あれは(耳に)残ってるんじゃないかなあ、って。それもあるんですよね。僕らはアルバムで四声のテンションノートっていうのを聞いてる訳ですよね。それが聞こえちゃうんですかね。これは音揃を作った強さよね。バンドの強さ。ビックバンドでがーんってやったときに生ギターでジャってやったって、聞こえるわけないのね。でも聞こえるの。不思議なもんで。
要:あと、それとはまったく正反対に、弾いてないのに聞こえてくる音っていう意味でいえば、じつは機械がやってたりするところもあったりするわけですよ。光田のこだわりっていうのは、「このフレーズはどうしても自分で弾きたい、機械に任せたくない」っていうフレーズは絶対打ち込まないわけ。だから、機械ってある程度シーケンスが鳴らすものっていうのは、「タカタカタカタカ」っていうのは弾いてもしょうがないから、そういうのを機械が鳴らすのをシーケンスっていうんだけど、そういうところは放っとくんだけども、誰も演奏しないけど、音が流れてたりするんですよ。そういうのもおかしいな、誰が弾いてんだろうって思うだろうけど、ま、もちろんテープだと思っても何でもかまわないんだけど、それにのってくる音が何が出るかっていうのが問題なのね。僕らのバンドはそういうところをちゃんと見せようとしてるけど、よそのコンサートなんかいったりすると、このフレーズは弾いてるやつはいねえよなあ、とかっていう音がガンガン流れてきたりすると、ちょっと待てよ、って思ったりするわけですよ。「これテープ?」って。それとか、一人しか歌ってないのに、3人ぐらいの声が聞こえて「おいおいおい」って思ったりするわけ。「テープ?」って。だから、そういうのもあるんだけど、なるべくそういうところを悟られないように、あるいはシーケンスの部分っていうのを堂々と見せていくっていうか。それはメンバーがズラって前に5人いて、シーケンスが流れてくることもある。これはテープで当り前ですよ。これに乗っかって俺たちが演奏し始めたときに本当の音がなるわけだからね。だからそういうバランスっていうのは大事だと思うわけ。中心になるソロを誰も弾いてないのに、ソロの音がガンガンに鳴ってたりすることってあるんだよね(笑)。サックスいないのにサックスの音がびんびん聞こえてきたりすることあるんだから。これは、想像じゃなくて、本物の音が流れてくるんだよ。そういうときに「あれ〜?」って思うよねえ。そういうのはバンドとかアーティストの体質でしょうね。だから、あのアーティストは口パクでやってるとかってウワサが流れたりするのも、そういう音がいっぱい出てくると信用できなくなってくるわけよ。「おまえ本当にやってるのかよ?」ってね(笑)。それは全部が全部じゃないんだけど、機械に助けてもらうところは僕らも実際あるわけだから。でもそういうところを堂々とみせるし、やるところだけをきちっと見せていくから。
甲:あまり気付かないですよね。スタレビはシーケンスを使ってるっていうイメージがあまりない。シーケンスはシーケンスで、人間が入った音と合体したときにこれが生き物になればいいわけですよね。
要:所詮は機械の音なんだけど、そこに僕らが命を吹き込んでいくわけですよ。ほんとに出してくるときは演奏は完全にシーケンスに任せた音をつくるか、あるいは僕らの中で全部やっちゃうかっていう完璧に区分けしてる。
甲:昔ね、グランド・ファンク・レイルロードっていうのが後楽園球場でやったときなんか、ほとんど弾いてないのに音が出てたっていう話もあってね。要:それは僕も実際にいって、ホンとか嘘か知らないんだけど、でも、僕はむっちゃくちゃ感動して帰ってきたし、そのコンサートはね、たった一回しかやってないから。でもみんなテープだテープだって、何がテープなんだかね、子供の僕にはわかんなかったけど。でもそれでも、まあ見方のせいかわかんないけど、感動しまくって帰ってきたわけ。やっぱ感動させられたらいいと思うの。それによって。何か疑いだしちゃうとね。なんか僕も「あれ?」って思った瞬間は一回だけあったんだ。それはドン・ブリューワーっていうドラムの人がいるんだけど、ドラムソロをやってて、雨がバーって降ってる中でね、前に出てくるんだわ。
あの、知ってるかどうか知らないけど、ドリフターズでね、いかりや長介とかが、ドラムソロやるときって、ドラムセットを離れて床とか叩いたりとかマイクスタンドとか叩いたりとかして「何だバカヤロー」って帰ってくるっていう、そういうのがあるんだけど、そのドン・ブリューワーがね、そういうのをやったわけよ。それで、床とかたたきながらやって、それで自分のドラムセットに帰る時に、転んだんだわ、ズドーンと。雨降ってたんでね。そん時に音が出てたんだよ。「あれ?」って子供心に思ったのはあった、オレはね。中1のときかな。ま、そういうのもあったけど、でも楽しかったんだよね。仮にテープであってもあの天候じゃ仕方ないかなって思ったとこもあったんで。ただ、お客さんが心配したりとか、疑っちゃうコンサートになると、俺つまんないなっておもう。見る方が真剣じゃなくなるから、またそういう音をさがして、事実を確かめたくなったりするから「ホントに歌ってんだろうか」ってもう口元しか見てなかったりするからね(笑)。
甲:今回の宮崎シーガイアでのライブは2DAYSということで、遅くまであるわけですけれど。要:昨日はね、米倉君が何時まで盛り上げてくれたんでしょう?12時過ぎなかったの?(過ぎなかったんですよね。11時半まででした)はぁー(深い溜息)、ダメだね〜。ミッドナイトっていうのは12時からのことをいうんだからね。僕はそれをちゃんと言ったんだ、ミッドナイトって言うからには、12時過ぎるぞって、それを過ぎないで何がミッドナイトだって。だって開演10時で、っていったらさあ、もうお客さんあきらめてるじゃん。ね。開演が9時で、10時半に終わるんだったらまだ帰れるかもしんないけど、もう11時過ぎちまったらいっしょだから。だからって朝までやるわけにはいかないけど〜(笑)。だから最低でも2時間はやらせてくれって言う話だったの。でもまあこういう機会もね、非常に少ないということなんで、今までの形態とは違う面白さがでてくるでしょうね。
甲:リハやってみてどうですか、ホールの感想とか。
要:ね。ここにスティングが立ったかと思うと・・(笑)感慨ひとしおですよ、僕もね。ここんとこ野外に向けてばっかりだったんで、ここが終わるとまた野外になるんで、すごく新鮮ですね。なんてったって気温差がない(笑)それから空調がきいてる(爆笑)っていうね。特にギターのチューニングなんかはぽろぽろかわってくるからね。野外っていうのは何度も何度もチューニングしなきゃいけない。野外は大変ですよ。それから前にシーガイアでやったときなんか、むちゃくちゃ雨降ったときがあって、アコースティックギターなんかジャボジャボ音しまくってたんだもの、水入って。
不思議なもんでね。古くは69年にウッドストックって大雨に降られたコンサートってのがあったんだけど、ああいうのはお客さんはそれを楽しみにしてるからどんな状況であっても演奏する人間さえくさらなければ、お客さんは何があっても楽しむ。これを僕は学びましたね。やる側が本気でやってれば、雨が降ろうが何しようが、ピーカンだろうが、くさんなかったら、絶対お客さんはそれなりの楽しみを感じてくれるんだろうと思った。シーガイアは何度か雨降られてんだけど、一度研ナオコさんが見に来てくれたことがあったのね。ずーっと遠くのほうで傘さしてるご婦人がいらっしゃったんだよ。なんなんだろう、あの人はって思ってたんだけど(笑)楽屋にきたらその人が居たんだよ。そしたら研さんだったの。「あたし来ちゃった」とかっていってたんだけどさ。だから、雨が降っても楽しみ方を持ってくれてるんでしょうね。僕らは、野外だったら「雨が降った時用の曲」っていうのがあったりするのね。あめあめ降れ降れじゃないけど(笑)「ラッキーレイン」っていう曲とか、ニールセダカの「ラフター・イン・ザ・レイン(雨に微笑を)」っていい曲があったり、BJトーマスの「雨にぬれても」ってアカペラ曲があったりする。雨は雨でまたそういう違うつなぎ方をしていくし。
俺たちがくさらなければ、絶対にお客さんは楽しんでくれるから、っていうか、俺たちだってくさりようがないよね。お客さんが楽しんでたら。お客さんがバンバンいなくなっちゃったらさ、「あれ〜?」って思うんだろうけどね。(みんな動かなかったですよね)あれね、面白いよね。そういうのが、やっぱライブって面白いなっていうのは、どっちが一方の気持ちだけが盛り上がっててもダメだし、その状況が妙に会場の雰囲気を盛り上げたりすることもあるんだろうね。甲:出す側のエネルギーというか、波動が伝われば、お客さん感動しますよね。
要:うーん、そっか・・・・。僕はだから感動というものが、自分でコンサート行ったときに人のコンサートで感動することはあったりしても、やる側が何をやろうとしてるのかっていうのをある程度きっちりみせたいっていうか、ただだらだらと20曲、曲を並べるわけじゃなくって、そこんとこには何でこの曲が選ばれたかっていう必然をいつも見せたいな、って思うのね。だからやっぱ、コンサートって、とは言いながらも今日も実際そうなんだけど、いつもやってる曲のバランスって大事なんですよね。例えばスターダスト・レビューっていうと、「夢伝説」だ、「今夜だけきっと」だ、「木蘭の涙」だってこの辺の曲をどういう形で入れていくかっていうのをね、でも、やらないわけには行かないわけ。ここがね・・・。本当はオレ達的にはやらなくてもいいんだわ、正直な話ね。でも、やっぱり聞かせたいところもあるんだよ、初めての人とかさ、生で聴いたことない人が中にはいるかもしれないし。だから、やっぱやりたいな、とおもうし、あるいは何度も聞いてもいいってひともあるかも知れないし、このバランスがいっつも難しいなと思うんだよね。ここはいまだに、1300回やってても良くわかんない、このバランスは。なくていいんだったら、他のめったにやらない曲やってもいいなとも思うけど、難しいよね。
甲:要さん自身が歌い方を若干変えたりしてるところはすごく新鮮ですよね。
要:とにかくそれにしたって今日しか歌えない歌だから、そういうメリハリをもってやろうっていう気持ちは強いけどね。だから今日も僕ら「夢伝説」もやるし、「木蘭の涙」も歌うけれども、今日しか歌えないものを何とかつくっていこうとは思いますよね。
甲:トータル性があるっていうか、ストーリー性がある、一つのステ―ジングが、オープニングがあって、エンディングがあってアンコールまでっていうトータル性は一つのアーティスティックな考え方がありますよね。
要:そうですね、ある程度人間の心情の流れっていうのがあるわけだから、その心情の流れはある程度楽曲で作れるはずだって思ってるところがあって、ここまで盛り上げたらもう終わってもいいだろうとか、ここまできたら、次はバラードで静かに終わるのもいいだろうとか、そういうね。ま、そんなにたくさんの方法論があるわけじゃないんだけど、やっぱり終わりきれない曲って言うのはあるからね、終わりきれない曲で終わっちゃったときには、自分が寂しくなっちゃうからね。これじゃうまくないよね、ってとこで。
甲:さあ、今夜、もうすぐなんですけどね、当然スタレビを見たことのない人もいるかもしれない。ここで、宮崎のファンならずとも、つま恋にも宮崎からも何人も行ってるみたいなんで、その方たちもリピートできてると思いますんで、是非最高のステージを届けていただきたいと。要:はい。僕ら、昨日も宮崎のスタッフと話してたんですけど、年に2回必ず宮崎に訪れる数少ないアーティストだって聞いてですね、「そうですか〜、ありがとうございます」って(笑)みんな来てるんだろうとばっかり思ってたんですけどね。「いや、年に2回も来てくれるのはスタレビさんぐらいしかいないですから」って言われて、それも嬉しいなって思うんですけど。またアルバムを作って次のツアーでも必ず来ますんで、今回見逃してしまった方、次は是非ツアーで生のスタレビにあいに来てください。どうもありがとうございました。
ちっちさんありがとうございました。