Martin Club Concert 2002

“The Acoustic Night!” Autumn IN TOKYO

ライブレポート

2002年10月26日(土)18:30開場/19:00開演
場所;アムラックスホール(東京・池袋)

会場となっているアムラックスというトヨタのショールームは、JR池袋駅より徒歩15分ほどの「サンシャイン60」という出来た当時は日本でもっとも高いと言われたビルのそばにある。私自身この付近に来たのは15、6年ぶり。サンシャイン60内にあるというナンジャタウン内の日本中の餃子店を集めた餃子スタジアムも気になりつつ、ライブ前に餃子を食べるのは回りの人に迷惑だろうなぁ…ということで後ろ髪ひかれながらもまたの機会にすることにしよう。

ライブに先立ち、午前11時から午後4時まで同じ会場で行われていた、「MARTIN GUITAR SHOW」もちょっと覗いてみた。私ははじめてこのイベントを見たのだが、会場にはEric Claptonの「MTV Unplugged(アンプラグド)」の映像が流れている中、たくさんのマーティンギターが展示・販売され、目玉商品は140万円のE.Claptonシグネチャーモデル。不思議なものでいつもは高いと思っていたマーティンギターも、高額のものばかり見た後だと、15万円くらいのが安く感じてしまう。だた、驚いたのはそんなギターのまわりで大の大人(いや、オヤジと言うべきか)が至る所でしゃがみこんでいるではないか。ちょっと異様な光景に驚きつつ、会場の人に聞いてみたところ、展示してあるギターは売約済みのものを除いてすべて手にとって弾いてもよい、とのこと。こんな機会は滅多にない、と最初はちょっと恐る恐るギターにちょっと触れたりしながら、でも数分後、私もいつのまにかその「異様な光景」の一員になり、しゃがみこんで弾いていた…。My ピック持って行ってよかった(笑)

午後4時、会場の人に「退場してください」と言われるまで、なかなかギターから離れようとしないお客さんの姿が印象に残った。みんなギターが好きなんだなぁ。夜のコンサートの開場時間まで約2時間半、私は会場で貰ったMartinのギターカタログを読んでギターについて少し勉強する時間に費やした。

午後6時30分、開場時間を過ぎると、会場にはたくさんの入場を待つお客さんが行列していた。先ほどのギターショウとは違って、女性の多いこと!前からA〜J列くらいまでのうち、前3列くらいはほとんどフラッパーの方のようで、さすが…。開演を待つ間も、やはり流れているのはEric Claptonの「MTV Unplugged」の映像。Clapton若い!しかもAndy Fairweather Lowの髪がまだある!(爆)

出  演 :吉川忠英、中川イサト、根本要&丸山ももたろう、アナム&マキ、有田純弘トリオ(有田(Gt&Banjo)・三浦(Dr)・六川(Ba)) ゲスト:TARO(Mandolin) 


午後7時10分ごろ

■有田純弘トリオ  公式ページはこちら 

Guitar&Banjo:有田純弘(ありたよしひろ)、Drums:三浦晃嗣(みうらこうじ)、Bass:六川正彦(ろくかわまさひこ) スペシャルゲスト TARO

いつものベースはクリス・シルバースタインという人だが、今日は島谷ひとみのライブのサポートに行っているので今日は六川さんとなったそうだ。有田さんは"いっちょうら"のMartin D-28とよばれるMartin社ではもっとも伝統的なギターを披露。しかもかなりのヴィンテージものだとか。「あら、もってたのね、って感じでしょ?」と有田さん。演奏したのはギターを持つとつい演奏してしまいたくなる曲だという1曲目はカントリー調の曲、2曲目はインストで1〜3フレットを巧みにあやつるその見事な指使いがすごかった。3曲目からは、お得意のBanjoが登場、「Martinでもバンジョーを出しているんですが、これはMartin製じゃないんですけど…」と言いながら、バンジョーを使ったジョークを一つ。「バンジョーとオートバイの違いは?」「それは、バンジョーはTune Up(チューニング)ができないこと」※意味がわかるようで分らない…(苦笑)。5弦Banjoというなかなか普通のライブではお目にかかれないギターとは違うその音色、ベラ・フレックという有名なバンジョープレイヤーの代表曲「サンセット・ロード」ではカントリーというよりも南米風なサウンドがとってもここちよかった。

その後はスペシャルゲストとして、マンドリン奏者のTAROさんが登場。有田さんが、赤ん坊の頃から知っているという紹介があったように、高校生みたいに若いTAROさんの登場にちょっとびっくりした。二人で、最後に「激しいヤツを」ということで、マンドリンとバンジョー、そしてベースを絡めたかけあいが見事な曲でお別れ。ギターではちょっと緊張ぎみの有田さんもバンジョーを手をすると生き生きした表情をみせた。


午後7時43分

■アナム&マキ 公式ページはこちら

関西出身の心の強そうな女の子二人。一見、ギター好きの女の子だが、侮ってはならない。なんでも向って右側のアナムさんは、聞いて驚くなかれ、あの故・河島英五さんのお嬢さん。顔はあまりお父さんに似なくてよかったね(笑)。見た目は「女性版ゆず」といったような感じで、さすがにベテランオヤジ(笑)ばかりのメンバーの中に入ってちょっと緊張してたようだったが、歌い出すとこれがすごい迫力で堂々としていた。残念ながらMartinを持たず、なぜかGibson(笑)。「あれ?」という感じ。だが、向って左側のマキさんのほうのギターはピックガードがなんだかかっこいい。若いのにさすが、特注のギターみたいだ。曲は「ゆず」というよりは、「サムエル」に近いかもしれない。「無口な夜」「優しさの声」(アナムさんはMartinを使用)、♪死にたいなら死ねばいい、殺すより…♪という激しい曲「9の位置」、そして、最後に、10月にライブ音源でリリースされたという中島みゆきさんのカバーで「ファイト!」。マキさんはギターをガンガンひっぱたく(笑)、アナムさんの赤いカポタストがちょっと可愛かった。


午後8時15分

■吉川忠英、中川イサト(イサ忠)吉川忠英さんの公式ページはこちら 中川イサトさんの公式ページはこちら

「アナム&マキを見てたんやけど、今の女の子もギターをひっぱたくようになったんやね。」とイサトさん。1曲目は二人でインストナンバー。「最近一緒に出ることが分かっていても練習しなくなった。ファジー(死語!)なほうがいい味出るでしょ。」とイサトさん。忠英さんのソロとイサトさんのソロをそれぞれ2曲ずつ。二人とも自分のシグネチャーモデルのMartinギターを使用している。さすが日本を代表するアコギスト。イサトさんは、ボディーを叩いて音を出すので、ボディーに縁取りがしてあるのが目立つ000C-42"1310"モデル。忠英さんはMartin製っぽくないヘッドとボディーの色がかなり個性的な00-18DBCYモデル。ちょっとGibsonを意識したサンバーストを「Chueiバースト」と呼ぶことにする、という約束をしてもらった、と上機嫌。

ここでこういった数々のシグネチャーモデルをプロデュースしている、Martin社のアーティストリレーション、広報部長ディック・ボーク氏登場。そういえば、ライブ前のギターショウのときも彼はずっとギターを手にしゃべってた。「記念撮影がしたい」、とSonyの小型デジカメを手にステージ上で撮影したり、なんとも気さくで陽気な外人である(笑)。3人で1曲、ディック・ボークさんも歌って、終了。


午後9時

■丸山ももたろう&根本要   丸山ももたろうさんの公式サイトはこちら

まずは丸山ももたろうさんのみステージに登場し、インスト曲を1曲。96年リリースのアルバム「誰想彼〜たそがれ〜」より「遠い空」。

そのあと、要さんが登場。前のほうはほとんどフラッパーの方だったようで、要さんの登場を今か今か、と待ち構えている感じだった。出てきたとたん、大盛り上がり(笑)。このももたろうさんのアルバムは要さんがとても気に入っていて、家で呑んでいる時にBGMとして聴くんだとか。「僕らのライブの夏イベントのときにエンディングで使わせてもらいました」と要さん。「でも今日はこのアルバム、ロビーで売ってないんや」と、残念そうな、ももたろうさん。「売って無いから自分で海賊盤作ったろか?(笑)」と、ももたろうさん。

「今日は何がすごいって、ギターがすごい。オレたちが100人束になっても勝てないくらい。だから、今日は俺らよりもギターを見てもらおうかな。」と要さん。ももたろうさんのMartinギターは74年製のものらしい。一方、要さんのギターは先程のディック・ボークさんに借りたもの?らしく、Martinの中でも小さい00(ダブルオー)タイプのギター。エリック・クラプトンも触ったことがあるらしい。「でもオレが触って価値下げたりして(笑)」と要さん。それはない、それはない、と首を振るももたろうさん。多くのアーチストのシグネチャーモデルを創っているリックさんに、楽屋で「一番ギターの注文がウルさいアーチストはだれ?」って聞いたら「ポール・サイモン」って言ってた、と嬉しそうに話す要さん。普通のミーハーになってる〜(笑)。

アコースティックギターと言えば、69年のウッドストックの映画で、CSN&Y(クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング)が使ってたMartinのD-45。外人が持つと体がデカいからバランスがいいんだよなぁ、と要さん。「これもDタイプやからでかいんよ、サウンドホールにほら、手が届かないんや(笑)。要のは00だから小さいやん」と、ももたろうさんが言うと、「それでもオレだと"ギターの陰からコンニチワ"だよ」と。また、ヘッドにアワビの殻がごっつう埋め込んであるギターを使ってた人がいる、という話になり、「ギターって木で出来てるじゃんか、いわば山のものだろ?それなのに、どうして海のものを埋め込むんだろう?」と要さんの素朴な疑問に場内爆笑。

さきほどの吉川忠英さんと中川イサトさんのユニット名が「イサ忠」というので、この2人も何かユニット名を考えたいな、と要さんが言うと、「じゃ、チチゴンとか?」と、ももたろうさんが言うと「それゴンチチを反対にしただけ…」とお互い苦笑。

「次はももさんのアルペジオを効かせた曲を…」、と要さんが言うと、ゴンッとマイクに頭をぶつけるももたろうさん。(さすが関西人ベタベタなギャグ…笑)

イントロはももたろうさんのアルペジオ。それにのせた要さんのギターのフレーズ。じっくり聴くと、これがなんとなく雰囲気が新曲「Joanna」っぽい。もしや…と思っていたが、その予想はハズれ、

M1 木蘭の涙
M2 My Love

二人とも2カポで演奏。アコースティックなので、雰囲気はもろに「Deeper Kind Of Love」。「ええわぁ〜要は歌うまいよねぇ〜」と、ももさん感心。

次はピアノの曲で…、と要さんが言うと、「なんでピアノなんよ」とももたろうさんに突っ込まれる。「ごっつしんど」と一言言い放ったももさん、面白い!

   M3 Just The Way You Are(素顔のままで)/ビリー・ジョエル

ずっと2カポ(2フレットにカポタストをつける)のまま伴奏を弾いていたももたろうさん。要さんは始めはギターを弾かずに歌っていたが、間奏のソロのところで、必要のないカポタストを付けたままだったことに気付き、一瞬取ろうとするが、すぐに取れなかったので諦めてそのままソロを弾いていた。曲の後で、「カポタスト取るの忘れちゃったけど、まぁいいや、ってそのまま弾いちゃった」と正直に自己申告する要さん(笑)。でも「カポタスト」っていったい誰がどこで命名したんだろ?だってへんな名前じゃん、とまた素朴な疑問を投げかける。

   M4 Desperado/イーグルス

今日はあこがれの二人(吉川忠英さんと中川イサトさん)を見られて嬉しいと、ももたろうさんと要さん。二人は90年くらいからのわりと長い付き合いで、なんと同い年の45歳。「でも要はほんまはエレキやから…」とももたろうさんが言うと、「エレキってそういう差別した言い方…、でもそうなんだよ、歯で弾いたりするからね」と要さんが言うと、すかさず「それジミ(ヘンドリクス)やんけ」と、ももたろうさんが突っ込む。2人の息のあった掛け合いが漫才みたい(笑)。「エレキだとあまり力要らないの?」と聞かれ「そう、だから今日はエキストラライトケージ(一番細いギターの弦)に張り替えたの。でもこんなの使ったらMartinに怒られそうだな(笑)。」と要さん。

「でもギターは弾くためにあるもんだから、ケースに入ったままのギターが一番可哀想だと思う。もし、家に弾いて無いギターがあったらオレにくれ、弾いてやる」と要さん(笑)。

次は2人でインストアレンジを考えた曲。「でも81年の作品だから20年以上経ってしまって、サウンドが萎びてきちゃったから、すっかりシュガーも『お年頃』じゃなくなっちゃって、『大年増』だな」、という要さんの説明にお客さんにも大ウケ。「3フィンガーピッキングで地味なところは君にまわすよ」と要さん。「それっ」というカウントに、「そんなカウントじゃ入れない!」と、ももたろうさん。で、仕切り直し。

   M5 シュガーはお年頃

ブルース風のイントロがかっこいい。

   M6 Goin' Back To 1981

ももたろうさんもギターを顔で弾くタイプで、表情がとっても豊かで面白い。二人ともとっても楽しそうだ。最後に要さんはピックを客席に投げて退場。そういえば、ピックを使って弾いてたのは要さんだけだったような…。みんな指に白いテーピングをして指で弾いていた。

午後9時48分


■アンコール

出演者のうち、アナム&マキのお二人以外が再びステージに登場。つまりTAROさん以外はオヤジばっかり(笑)。もちろん、Martin社のディック・ボークさんも登場。みんなで「SUKIYAKI」を歌おうという忠英さんの呼び掛けで

アンコール 「上を向いて歩こう」

イサトさんと忠英さんの間の椅子が空いていて、要さんが一瞬「ここに座って良いの?」といった表情をしてステージの袖に確認していたのがちょっと可笑しかった。アコースティックギターの巨匠に囲まれてちょっと緊張してたようだったが、表情は満面の笑みを浮かべ1人のギター好きの少年になっていた。

午後9時59分終了


ギター好きな出演者とギター好きなお客さんが集まった、和やかで、格調高く品のあるイベントだった。特に私はMartinを弾く要さんを見るのは初めてのことだったので、嬉しかった。今度は吉祥寺で行われている「アコギでGO!」にも出て下さい!(笑)

あ、今ごろ気付いた…。要さんを見るのは、この日が今年で見納めになるかもしれないとは。ちょっと気が早いけど皆様よいお年を…。


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